処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)の解説
令和7年度から処遇改善等加算が一本化されました。制度変更によりFAQがこども家庭庁より発出されております。今回は特に理解しておいて欲しい点を取り上げ解説いたします。正しく制度を理解し、適切な運用を行いましょう。
※本記事では、処遇改善等加算に関するFAQ(よくある質問)第5版(令和7年10月8日時点版)を用いて解説しています。適宜、追加・修正が行われます。常に最新のFAQを確認するようにしてください。
| 用語 | 定義 |
| 告示 | 特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準(平成27年内閣府告示第49号) |
| 留意事項通知 | 「特定教育・保育等に要する費用の額の算定に関する基準等の実施上の留意事項について」(令和5年5月19日付けこ成保38、5文科初第483号こども家庭庁成育局長、文部科学省初等中等教育局長連名通知) |
| 処遇改善等加算通知 | 「施設型給付費等に係る処遇改善等加算について」(令和7年4月11日付けこ成保296、7文科初第250号こども家庭庁成育局長、文部科学省初等中等教育局長連名通知) |
| 処遇改善等加算ⅡFAQ | 「技能・経験に応じた追加的な処遇改善(処遇改善等加算Ⅱ)に関するFAQ(よくある質問)」(Ver.8(令和5年10月30日時点版)) |
| 区分1 区分2 区分3 | 処遇改善等加算通知における区分1「基礎分」 区分2「賃金改善分」 区分3「質の向上分」 |
| 加算Ⅰ 加算Ⅱ 加算Ⅲ | 令和6年度までの処遇改善等加算Ⅰ、処遇改善等加算Ⅱ、処遇改善等加算Ⅲ ※特定教育・保育、特別利用保育、特別利用教育、特定地域型保育、特別利用地域型保育、特定利用地域型保育及び特例保育に要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する件(令和7年こども家庭庁告示第4号)による改正前の告示における処遇改善等加算Ⅰ 処遇改善等加算Ⅱ 処遇改善等加算Ⅲ |
1. 区分2・3のうち1/2以上改善額
問10:処遇改善等加算通知の第5の2において、「また、区分2及び区分3を併せた加算による改善額のうち1/2以上は、基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること。」とされていますが、ここでいう「改善額」には、国家公務員の給与改定に伴う公定価格における人件費の改定分に係る区分2の単価の増額分は含めるのでしょうか。含める場合、年度途中の改定により、区分2の単価が増加し加算額は増額しますが、年度途中のため一時金の処理となることにより、結果、基本給・決まって毎月支払われる手当が改善額の1/2未満となった場合、どのように取り扱えばよいのでしょうか。
答10:国家公務員の給与改定に伴う公定価格における人件費の改定分には、国家公務員の給与改定に係る区分2の加算額の増加分も含まれるため、区分2及び区分3を併せた加算による改善額には、国家公務員の給与改定に係る区分2の加算額の増加分は含みません。
【解説】
区分2・3を併せた改善額のうち「1/2以上は基本給・毎月支払われる手当により改善すること」が求められています。国家公務員の給与改定における人件費の改定分(いわゆる人勧分)が増加すると、区分2の金額も増額します。
ただし、国家公務員の給与改定における人件費の改定分は年度途中にしか分かりません。昨年度は12月に改定された公定価格が公表されました。そのため、このFAQでは国家公務員の給与改定における人件費の改定分により区分2が増加したとしても、区分2・3を併せた改善額のうち1/2以上の金額は、区分2増加前の金額で考えます、ということを回答しています。
※令和7年11月21日に人勧分が5.3%になると発表されました。人勧分の5.3%が反映された公定価格の公表に注視してください。
2.区分2・3のうち1/2以上改善額(令和7年度特例)
問24:処遇改善加算等通知の第2の2の(2)で、「区分2と区分3を併せた加算による改善見込額は、1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」とされているが、令和7年度は、制度の見直しに伴い加算額が確定せず、4月から「基本給・決まって毎月支払われる手当」により賃金改善を図ることが困難です。
制度変更に伴う事情により「1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」ができない場合でも、加算の要件を満たさないものとして取り扱うのでしょうか。
答24:制度変更に伴う事情により、区分2・3の加算額の認定が遅れた場合は、「1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」を満たしていない場合であっても、当該要件を満たすものとして取り扱って差し支えありません。
ただし、原則、認定がされてから翌月以降できるだけ速やかに「1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」を満たすこととしてください。
また、自治体においては、実績報告時、年間を通して「1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」を満たしていなかったとき、認定がされてから翌月以降に「1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」を満たしているかを確認する必要まではありませんが、指導監督等の機会に、特段の事情もなく、認定がされてから翌月以降できるだけ速やかに「1/2 以上を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善すること」を満たしていない場合は、要件を満たさないものとして取り扱ってください。
【解説】
原則は1の項目で説明した通りなのですが、令和7年度に限っては特例があります。年度当初から「1/2以上は基本給・毎月支払われる手当により改善すること」が満たしていない場合であっても、処遇改善等加算の認定がされた翌月以降できるだけ速やかに「1/2以上は基本給・毎月支払われる手当による改善」を行えば、要件を満たすこととされております。
本記事をご覧頂いている方の施設でも今一度、区分2・3を併せた改善額のうち「1/2以上は基本給・毎月支払われる手当により改善」が行われているかご確認ください。
3.区分3の支給額(自治体によって判断が分かれている事項)

出典:子ども家庭庁 施設型給付費等に係る処遇改善等加算について(説明資料)
問61:区分3は、全額を基本給・決まって毎月支払われる手当により改善する必要がありますが、法定福利費等の事業主負担増加額が少ないことにより、加算(見込)額を下回る場合に生じた差額は、どのように支払えばよいでしょうか。
答61:当該差額分は、施設職員の賃金改善に確実に充てる必要がありますが、対象者・改善額・改善方法については、施設の事情に応じて自由に行っていただくことが可能です。例えば、副主任保育士等として発令を行っていない職員に配分することや一時金によって支払うこと、翌年度の賃金改善に充てることも可能です。
なお、この場合、基本給・決まって毎月支払われる手当に加えて一時金を支払うことで、結果として月額が4万円を上回る配分となることも差し支えありません。ただし、その場合には法定福利費等による差額調整であることが分かるように改善計画書・実績報告書等に記載してください。
【解説】
「処遇改善等加算について(説明資料)」内の区分3概要の説明資料では、「加算額の1/2以上は基本給・毎月支払われる手当により改善」とあります。FAQ上の質問では、「区分3は、全額を基本給・決まって毎月支払われる手当」と記載があります。
区分3は旧処遇改善等加算Ⅱにあたるものですので、昨年度までは全額を基本給・決まって毎月支払われる手当にて支給するものとされていました。
今回、こども家庭庁で示されている資料内でも支給方法(要件)に相違があり、私も複数の自治体に問い合わせを行ったのですが、判断が分かれている箇所です。
区分3の支給については自治体にお問い合わせ頂きご対応ください。
私の見解としては、区分3は全額支払うべき性質のものと考えております。
4.区分3の法定福利費差額分支給(現時点で未解決事項)
3項の問・答と同じ内容について
出典:子ども家庭庁 子ども・子育て支援制度: 別式様式
※別記様式(実績報告書)様式4別添 抜粋
【解説】
区分3の改善額を全額支給した場合であっても、多くの場合で法定福利費差額分が残ります。この差額分の支給方法については、施設の事情に応じて自由に行うことが可能です。ここは昨年度までと同様です。
今回制度変更に伴い、実績報告書が変更となりました。回答では「法定福利費等による差額調整であることが分かるように改善計画書・実績報告書等に記載してください」とあるのですが、現報告書上では一時金や差額の欄がありません。備考欄で記載を行うのか、報告書が変更されるのかは現時点で未解決の事項となっております。
こちらも自治体にお問い合わせ頂きご対応ください。
5.区分3の園長以外の管理職と副主任保育士等の賃金改善額
問65:園長以外の管理職に対して区分3-①による賃金の改善を行う場合、副主任保育士等の賃金改善額のうち最も多い額以上の改善を図ることも可能でしょうか。
答65:園長以外の管理職に対する賃金改善は、あくまで、「改善後の副主任保育士等の賃金が園長以外の管理職の賃金を上回ることとなる場合など、賃金のバランス等を踏まえて必要な場合」において可能なものです。
ご質問の「副主任保育士等の賃金改善額のうち最も多い額以上の改善」をする場合も含め、副主任保育士等と園長以外の管理職の改善前の賃金の差が広がるような改善を行うことは認められません。
【解説】
区分3では、旧処遇改善等加算Ⅱの月額4万円を支給する職員が必須という要件は無くなりました。ただし、園長以外の管理職は副主任保育士等の最も多い賃金改善額と同額以上ではならない、という要件は残っていますのでご注意ください。
6.時給や日給者の加算当年度及び基準年度の支払賃金比較
問55:時給や日給で雇用している職員の場合、時給や日給を増額していても、勤務時間や勤務日数が基準年度より減ることがあり、結果として年間の支払賃金が下がることがあります。
このことが要因で、処遇改善加算等通知の第2の2の(4)の「①加算当年度の加算による改善額等の影響を除いた賃金見込総額」が「②基準年度における加算額等の影響を除いた支払賃金総額」を下回っていないことの要件を満たさなくなることも考えられますが、このような場合はどのように取り扱えばよいでしょうか。
答55:時給や日給のように、勤務時間や勤務日数により支払賃金が変動する者については、基準年度の賃金について、その勤務時間や勤務日数を加算年度と同じものとして計算を行い、計上して差し支えないものとします。以下のイメージの場合、基準年度の支払賃金を162.0万円(時給1,500円×1,080時間)として差し支えありません。
| 加算当年度 | :支払賃金(実際の額) | :167.4万円(時給1,550円×1,080時間) |
| 基準年度 | :支払賃金(実際の額) | :216.0万円(時給1,500円×1,440時間) |
| ↓ | ↓ | |
| 基準年度 | :支払賃金(調整後) | :162.0万円(時給1,500円×1,080時間) |
なお、こうした調整をしなくても、「①加算当年度の加算による改善額等の影響を除いた賃金見込総額」が「②基準年度における加算額等の影響を除いた支払賃金総額」を下回らない場合は、こうした調整をしなくても差し支えありません。
問56:No.55で示された取り扱いについて、基準年度より加算当年度の方が勤務時間や勤務日数が増える場合も同じような取扱いをする必要があるのでしょうか。
答56:お見込みのとおりです。賃金水準を比較する上で、勤務時間や勤務日数の増加は、ケースによっては大きな影響を与えることになるため、基準年度の勤務時間や勤務日数について、加算当年度に合わせる形で調整をしてください。
以下のイメージの場合、基準年度の支払賃金を216.0万円(時給1,500円×1,440時間)としてください。
| 加算当年度 | :支払賃金(実際の額) | :223,2万円(時給1,550円×1,440時間) |
| 基準年度 | :支払賃金(実際の額) | :162.0万円(時給1,500円×1,080時間) |
| ↓ | ↓ | |
| 基準年度 | :支払賃金(調整後) | :216.0万円(時給1,500円×1,440時間) |
【解説】
時給や日給にて賃金を支給している職員の多くは、各年度によって勤務時間数や勤務日数に変動があります。勤務時間数や勤務日数が変動したことにより、支払賃金が上がる、下がるという影響を避けるため、加算当年度の勤務時間数及び勤務日数を基準年度に当てはめ、基準年度の支払賃金を算出することを回答しています。
事務負担を考慮し、こうした調整を行わなくとも「①加算当年度の加算による改善額等の影響を除いた賃金見込総額」が「②基準年度における加算額等の影響を除いた支払賃金総額」を下回らない場合は、調整しなくてもよいこととされています。
7.まとめ
今回解説したものは、74の質問で構成されているFAQの中から抜粋した7つの質問のみです。施設毎に気になる点は様々かと思います。お時間はかかるかもしれませんが、一読して頂けますと、より理解が深まりますのでお勧めいたします。また、記事内で参照いたしました処遇改善等加算について(説明資料)もご一読をお勧めいたします。
